「ソーラーで電気を作るようになったら、とても便利になった。電気の心配が減ったの」。こう嬉しそうに話すのはミャンマー・ヤンゴン市のシュエピタ地区に住むテッワーレーさん(27)。3年前にソーラーパネルを購入し、自家発電で家の電力をまかなう。
シュエピタはヤンゴン市の最北端に位置し、貧困家庭が多い地域だ。電力供給がない場所では、充電済みのバッテリーを1日200チャット(約20円)で借りることができる。1回の貸し出し時間は夕方の5時から朝の6時まで。連続して使うと3時間も持たないが、優先度を考えながら利用すれば生活できる。
テッさんは、シュエピタの中では比較的裕福な家庭で生まれ育った。父親は不動産斡旋で儲け、5人のきょうだいもファッションやコスメのビジネスで成功している。テッさんの主な仕事は家の前で野菜を売ることで、1カ月の収入は平均30万チャット(約3万円)。毎朝5時に起きて準備を始め、8時から夕方5時まで働く。家は広くきれいで、大きなソファーや高級感漂うきらびやかな仏像が置いてある。
テッさんがソーラーパネルのことを知ったのはTVのニュース番組。「ソーラー発電は自然に電力が貯蓄されていくので、バッテリーを毎日借りに行かなくてもいい」という利便性に惹かれ、25万チャット(約2万5000円)で購入した。シュエピタに住む貧困層にとっては簡単に出せる金額ではないが、お金に余裕があるテッさんにしてみれば「問題ない額だ」とテッさん。ソーラーパネルは半畳分ほどの大きさで、電気が満タンの状態であれば4~5時間ぶっ続けで利用できる。
貯めた電力は、電球などで手作業や家事のために手元を明るくすることを優先して使う。長時間は難しいが30分程度であればテレビを見ても問題ない。「以前は置いてあるだけだったテレビも、ソーラー発電に変えてから観る機会が増えた」とテッさんは話す。