サウジアラビアで初の女性評議員誕生、不平等是正の一歩となるか

サウジアラビアの「諮問評議会」(国会に相当する)で2月20日、初の女性評議員が誕生した。アブドラ国王が任命したもので、選ばれたのは、大卒者や人権活動家、王女2人など30人。これにより全評議員160人の18.8%を女性が占めることになった。これは、日本の国会議員に占める女性の比率の2倍以上だ。

女性評議員が誕生した背景にあるのが、絶対君主制をサウジアラビアが維持する中、国内外で高まる「改革」への強い圧力だ。複数のメディアによると、アラブの春の影響を懸念してアブドラ国王は、政情安定と開発を進めるうえで不可欠な女性の社会参加を促進しようとしている。今回の女性評議員誕生もその一環で、アブドラ国王は、女性の参政権を2015年以降に認める意向を示している。

同国の女性人権活動家は「女性のために変えるべき法律、政策はまだ多く残っているが、(女性議員の誕生で)保守的なサウジアラビア社会の中で女性のイメージを変えることができる。これまでの“男性の役割”を女性評議員が果たす姿を見て、男性が女性を尊敬するときがいつか来る」と期待する。

シャリーア(イスラム法)を重んじるサウジアラビアでは、教育や医療、食事など、生活のあらゆる場面で男性と女性は別々に扱われ、家族以外の異性と接触することはない。また女性の地位は低い。

たとえばサウジアラビア人女性は車を運転することが認められず、また家族内の男性の許可なしで、学校や仕事、買い物、病院などに行くことはできない。女性が1人で外を歩くことはほぼ不可能。さらに女性が結婚や離婚をする際は家族内の男性から許可を得る必要がある。ひどいのは、婚外交渉が発覚した場合、男性は鞭打ちで済むことが多いのに対し、女性は死刑にされるのも珍しくないという不平等だ。

サウジアラビア社会に根付く圧倒的な男尊女卑。サウジアラビアはいまだに国際人権規約を批准しておらず、女性はいままで、深刻な人権侵害にさらされてきた。今回の女性評議員の誕生で、国政について同じ空間で男女が議論できるとすれば、それは大きな変化だ。

女性への不平等で悪名高いサウジアラビアだが、国会議員に占める女性の比率をみると、先進国・日本のほうが7.9%と低い。これは世界平均の20.4%の半分に満たないだけではなく、世界190カ国中122位。先進国の中ではもちろん最下位で、サウジアラビアやインド、北朝鮮、多くのアフリカ諸国の数字を下回っている。(有松沙綾香)