G8サミット開幕へ、「タックスヘイブンの廃止と土地収奪の終焉を」とオックスファム

英国・北アイルランドで6月17~18日に開催される主要8カ国(G8)首脳会議(ロックアーン・サミット)にあわせ、国際NGOのオックスファムは17日、G8の期間中(2日間)も、22億ドル(約2090億円)が途上国からタックスヘイブンに不正に流れ、また1万3900ヘクタール(川崎市とほぼ同じ面積)の途上国の土地が海外の投資家に売られている、と貧困の根源を懸案する声明を発表した。

オックスファムによると、世界の富裕層がタックスヘイブンに置く資産は推定18兆5000億ドル(約1750兆円)。このうち4割はG8が管轄するタックスヘイブンにあるという。

「租税回避行為(税金逃れ)の結果、G8諸国は、世界中の市民が失っている金額の40%に対して責任がある。世界の貧困を本気で終わらせよう、とG8各国が考えるのであれば、税の抜け穴を埋めることは欠かせない」とオックスファムは指摘する。G8管轄下のタックスヘイブンを通じて失われる税収は660億ドル(約6兆3000億円)。この金額はもちろん、本来ならば途上国の貧困撲滅に充てることが可能だ。

G8サミットではまた、途上国の土地が奪われる問題も議題に上る見通し。土地への投資活動をモニタリングする組織ランド・マトリックス・パートナーシップによると、2000~13年に、海外の投資家が取引した途上国の土地面積は3300万ヘクタール(日本の国土の1.1倍)に上る。

G8に拠点をもつ企業や投資家が、途上国から買い上げた土地は、2000年以降だけで1100万ヘクタールだが、これは北海道と九州を合わせた面積。「これだけの土地があれば、9600万の人たちが必要とする食料を栽培できる」とオックスファムは言う。

貧困にあえぐコミュニティの土地の権利を保護することを目的にオックスファムはG8に対し、国連が提唱する「農地・森林・漁業の権利の責任あるガバナンスに関するボランタリー・ガイドライン」を支持するよう要請。投資家の土地取引のすべての情報に開示を義務付ける「土地透明性向上イニシアティブ」を立ち上げることを求めている。

キャメロン英首相が宣言したように、今回のG8は「自ら(先進国側)の身を正す」サミットとなるのか。オックスファムは「各国の首脳は、このサミットで、貧困や飢餓の原因となっている土地収奪やタックスヘイブンを終わらせなければならない。企業や富裕層による税逃れは許されるべきではなく、貧しい人から企業が簡単に土地を奪うことができないよう、ルールを変更すべき。不均衡なバランスを正し、貧困を克服する確かな一歩を踏み出す時だ」と強く訴える。