スウェーデン発祥で、世界最大の家具販売店のイケアが、難民向けの仮設住宅をデザインした。プレハブ住宅のようなタイプで、堅くて丈夫なプラスチックとスチールのフレームでできているのが特徴。
難民キャンプで現在使用されているテントと比較すると、広さは2倍(約17.5平方メートル)、使える期間は約10倍の10年弱という。また、たったの4時間で組み立てが可能だ。さらにこの仮設住宅はソーラーパネルを備え付けており、家の中の電球やUSBコンセントに電力も供給できる。
紛争や災害などで増え続ける難民に対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は現在2つのタイプのテントを仮設住宅として採用している。難民は多くの場合、その土地に数年間は滞在するが、いずれのタイプも耐用年数は6カ月~1年程度という問題があった。またこれらのテントは、夏は暑く、冬は寒い。電気も使えないため、難民は過酷な生活を強いられているのが現状だ。
イケアの仮設住宅はすでに、エチオピアやレバノン、イラクで試験的に利用され始めた。イケアは今後、難民キャンプでの使用に適したものにするよう改善し、大量に生産する計画だ。同社はまた、難民のこれ以外のニーズにも応えるため、移動可能なソーラー発電式街灯などの設計にも着手した。
イケアはイケア基金を設立しており、この仮設住宅を設計する以前から貧困に苦しむ子どもたちやその家族がより良い未来を築くための機会をもてるため、途上国でさまざまな長期的支援プログラムを提供してきた。(新口慎太郎)