ユニクロが途上国の子どもを支援、「図書館」「女子サッカー」「映像授業」など5プロジェクトに助成

ユニクロは8月27日、世界の子どもに夢と希望を与えるプロジェクト「Clothes for Smiles」(笑顔のために服を)の一環として、5つのアイデアをプロジェクトとして始動させる、と発表した。Clothes for Smilesは、ユニクロと、同社のグローバルブランドアンバサダーでテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ氏が発案したもの。10億円のファンドを設立し、途上国の子どもの教育や自立を支援するプロジェクトを助成する。

Clothes for Smilesでは子どもたちの夢を支援するアイデアを世界中から募ったところ、46カ国から739件の応募があった。その中から8つを選び、順次、プロジェクト化していく。今回スタートする5つのプロジェクトは下の通り。

1図書館プロジェクト

カンボジアに図書館を設立するもので、国際協力NGOのシャンティ国際ボランティア会(SVA)が9月上旬から着手する。読書促進プログラムなどを通じて、子どもたちの識字率を改善するのが目的だ。

カンボジアでは約30年続いた内戦が終わり、経済が発展する一方で、経済・教育格差が問題となっている。字が読めない人は、変な契約書にサインをして土地を失ったり、子どもを売る羽目になってしまったり、薬を誤って飲んでしまったり、といった事件が後を絶たない。字を知ることは、貧困の連鎖を断ち切る手段となる。

2)ワクワークセンタープロジェクト

フィリピンの貧困層の子どもたちの自立を促す「ワクワークセンター」をセブのバランガイ・ロレガ(ロレガ地区)に設立する。

ワクワークセンターは、学校に行けない子どものためのラーニングセンター、また若者や親にとっては職業訓練やインキュベーションという2つの機能をもたせるのが特徴。生まれた環境に関係なく、誰もが夢をもち、やりたいことを実現できる社会づくりを支援する。

実施主体は、オンライン英会話事業のワクワーク・イングリッシュ(東京・渋谷)。起業を支援するNPO法人ETIC.のサポートを受け、9月上旬から運営する。

3)女子サッカープロジェクト

実施主体は、国際NGOプラン・ジャパン。9月上旬から、バングラデシュ、ガーナ、ジンバブエの3カ国で、女子サッカーチームを設立し、サッカーを通して、女子の自立と社会的地位の向上を支援する。仲間と同じ目標に向かって努力を重ねることで、自信と規律を身につけ、彼女たちが社会で力を発揮できるようになることを目指す。

サッカーだけでなく、リーダーシップトレーニングや女性の権利、性や健康などの啓発活動も実施するのがポイント。

4)e-Educationプロジェクト in フィリピン

このプロジェクトは2013年4月からすでに始まっている。フィリピンのマニラとミンダナオで、非営利団体e-Education ProjectがETIC.の支援を受け、教育格差の是正を目的に、フィリピンの貧しい子どもたちに「映像の授業」を届ける。

日本の大学生が現地の教育ニーズを調査した後、優秀な教師の授業をDVDに収録。学ぶ機会の乏しい子どもたちに提供する。生まれた環境にかかわらず、誰もが意欲をもって学び、自分の可能性を広げていけるよう支援していく。

5)ワクワク社会体験プロジェクト

このプロジェクトは、セルビア・ベオグラードの難民センターで暮らす子どもたちのために、ユニクロの店舗を模した空間で仮想通貨を使って買い物体験をしてもらうもの。実施主体は、NPO法人危機の子どもたち・希望(ACC)。11月からスタートする

難民センターの子どもたちは、貧しさから、閉塞的な環境で生活している。社会に参加する機会も限られる中、服を買うという体験を通じて、子どもたちに「なりたい自分になれる」というワクワクする経験を提供する。生きていくための自信を付けてもらうのが狙い。

子どもたちは実際に購入した服を着て、家族の前で、ダンスなどのパフォーマンスを披露。思い思いに自己表現する。

2012年10月に立ち上がったClothes for Smilesの原資は、ユニクロの同年秋冬のヒートテックとウルトラライトダウンの売り上げから拠出した。主な活動は、子どもたちの未来を開くアイデアを世界中から募り、実行していくこと、グローバルアライアンスを結ぶ国連児童基金(UNICEF)と一緒に世界の子どもたちの教育環境の改善を支援していくことの2つ。予算はそれぞれ5億円ずつ。