都内で2月25日に開かれた「第4回40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」(主催:アイ・シー・ネット)の「高校生部門」で、郁文館グローバル高校(東京・文京)の高校生3人が提案したバングラデシュで「女性限定の移動式ブティック」を展開するビジネスアイデアが最優秀賞に輝いた。アイ・シー・ネットからは賞金として最大100万円が贈られる。郁文館グローバル高校の生徒たちは「(起業を実現するために)まずバングラデシュに行って現地調査をしたい」と今後の展望を語った。(企業部門の記事はこちら)
女性限定の移動式ブティックとは、服や化粧品を試したり、売ったりするブースを中に設けた車を用意し、バングラデシュ各地を回るというもの。利用できるのは女性だけだ。イスラム教の文化的な理由から人前で好きな格好ができないバングラデシュの女性が自由に服を着る場所になる、と高校生らは考えた。イスラム教徒が国民の9割を占める同国では、女性はヒジャブ(人前で髪を覆うスカーフ)などの服装をしなければならない。
郁文館グローバル高校のビジネスアイデアによれば、普段はヒジャブを被る女性が、移動式ブティックの中で西洋の化粧や服を試して、買う。売り上げが事業の収益になる。売る服は、生地の質が高いとされる日本の古着をバングラデシュの女性が好むデザインにリメイクしたもの。移動式ブティックで“おしゃれ体験”をした女性たちは自分たちの村で、好きな服を選んで着る喜びを他の女性たちに話す。口コミでおしゃれの楽しさが広がっていく、というのがイメージだ。
移動式ブティックの効果を高校生たちは「女性限定にすることでムスリム(イスラム教徒)の女性が男性の目を気にしないで自分の着たい服(肌を露出させる服など)を自由に着られる。ファッションを楽しむことで彼女たちに自信を持たせ、強くさせられる」と話す。
郁文館グローバル高校に最優秀賞を贈った理由について審査委員長を務めた多田盛弘アイ・シー・ネット社長は「イスラム教は数十年後に世界最大の宗教になる。(郁文館グローバル高校のビジネスアイデアは)多くの人(イスラム教徒の女性)に社会的インパクトを与える。美に対するアプローチも新しい。その両方のインパクトが強い」とコメントした。