「100万チャット(約10万円)もし手に入ったら何に使う?」。ミャンマー・ヤンゴンでミャンマー人13人にこう質問したところ、男性は「iPhoneが欲しい」、女性は「パゴダ(仏塔、寺院)に寄付する」といった声が聞かれた。男性は「自分のため」に、女性は「自分以外のため」にお金を使う傾向が鮮明になった。
調査した場所は、ヤンゴン中心部のマハバンドゥーラ公園(男性6人、女性6人)と、ヤンゴン川をはさんだ対岸で貧困層が暮らすダラ地区(女性1人)。
100万チャットの使い道は「自分のため」と答えたのは、インタビューした男性6人のうち5人に上った。IT企業に勤める20代の男性は「iPhoneが欲しい」と答えた。Android搭載のサムスンのスマートフォンを使っているが、iPhoneへの憧れは強い。ただiPhone 7(32GB)の値段は89万チャット(約8万9千円)と他の端末と比べてダントツに高い。
30代の男性は「タイへ行きたい。ミャンマー人にとってタイは憧れ。バンコクの街を歩いてみたい」と即答した。ミャンマー人にとってタイは人気の旅行先のひとつ。買い物目当ての観光はもちろん、手術など治療を受けに行く人もいる。
これ以外の男性の意見は「自分の居酒屋を将来開くために貯金したい」(大学生)、「ズボンやTシャツをたくさん買いたい」(大学生)、「タクシーをいまレンタルしているが、自分の車を買いたい」(50代のタクシー運転手)。
対照的に、女性は6人中5人が「自分以外のこと」にお金を使うと答えた。ヤンゴンの貧困層が住むダラ地区(ヤンゴン川の対岸)で夫、娘と生活するティンティンラさんは「(100万チャットが手に入ったら)娘のためにロンジーを買い、料理店を開き、家計を支えたい」と話す。娘は15歳でおしゃれに気を使いたいお年頃。そんな娘のために新しいロンジーをプレゼントして、喜ばせたいという。
ティンティンラさんの夫はサイカー(三輪の人力車)の運転手だが、病気で1週間寝込んだとき、収入がゼロになった。飼っているニワトリが産む卵だけで食事を済ませたことも。料理店を経営すれば「もし客が来なくても家族の食に困らない」と話す。料理は得意で、ミャンマーの伝統料理をよく家族にふるまう。家族からの評判は良い。
50代の女性は「100万チャットをすべてパゴダに寄付する。欲しいものはない。暇さえあればマハバンドゥーラ公園のすぐ横に建つスーレーパゴダを眺めている」と言う。彼女にとってパゴダは特別な存在のようだ。
また別の50代の女性は「80代の母の医療費に当てたい」と話した。