西アフリカ・リベリアのダイヤモンド採掘労働者の貧困をフェアトレードで解決しようとするNGOダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)はこのほど、「ダイヤモンドのふるさとから ~西アフリカ・リベリア共和国 手掘りダイヤモンド採掘現地調査報告会~」を横浜市内で開催した。リベリアでダイヤモンドを採掘する労働者の平均賃金は1日約1.7ドル(約190円)と、世界銀行が定める貧困ライン(1日1.9ドル以下)を下回る。DFPの村上千恵代表理事は「フェアトレードや、ネリカ米・養蜂を普及させることで収入源を多様化し、(リベリアの)ダイヤモンド採掘労働者の脱貧困を目指したい」と語った。
DFPは2016年10~11月、2017年2~3月と2回、ダイヤモンドが採れるリベリア西部で採掘労働者を聞き取り調査した。そこでわかったのは採掘労働者の平均年収は627ドル(約7万160円)だったこと。365日で割ると、1日当たりの収入は約1.7ドル(約190円)しかない。
リベリアのダイヤモンド採掘労働者の賃金が低い理由は「ダイヤモンドの買いたたき」にあるという。村上氏は「末端の労働者はダイヤモンドの価値がわからない。ブローカー(仲買人)が不当に安く買いたたいている可能性がある」と指摘する。ダイヤモンドは、大きさ・透明度・色によって価格が決まる。単純な価格の指標がなく、価値が判断しづらい。これに加えて、末端の労働者は、ブローカーに採掘の道具を提供されているという“借り”もある。このため言い値が不当でもブローカーに売らざるを得ないのが実情だ。
DFPは現在、ダイヤモンドの課題を日本国内で啓発し、活動資金の調達に力を注ぐ。2017年度の活動内容は、リベリアのダイヤモンドがフェアトレードされるよう支援したり、採掘労働者の収入源を多様化させるプロジェクトに着手することだ。
ダイヤモンドのフェアトレードの実現に向けて村上氏は、採掘労働者に「ダイヤモンドの評価方法を理解させること」「フェアなダイヤモンドを求める企業との継続的な取引の斡旋」「採掘労働者が協力して活動するための組合の組織化」「フェアなダイヤモンドだという認証ラベルをDFPが組合に発行する」などを挙げる。「リベリアのダイヤモンド採掘労働者は、いつまでも支援する対象ではない。自立させることが大切」と村上氏は力を込める。
リベリアのダイヤモンド採掘労働者の収入源を多様化させ、継続的な収入を得るために、DFPは、ネリカ米の栽培や養蜂を採掘労働者の間に普及させる方針だ。ネリカ米とは、収穫量の多いアジアイネと乾燥に強いアフリカイネをかけあわせた「New rice for Africa(NERICA)」のこと。村上氏は「病気にも強い陸稲のネリカ米はたくさんの収穫が見込める。養蜂はリベリア国内のハチミツ需要の高さから収入面での不安がない」と意気込む。