10代のエイズ関連死は1.5倍以上に増加、UNICEFの報告書で明らかに

国連児童基金(UNICEF)は、12月1日の世界エイズデーにあわせ、「子どもとエイズ:第6次報告書2013年」を発表した。このなかで、10~19歳のエイズ関連死は、2008年の7万1000人から2012年は11万人へと1.5倍以上も増えていることを強調し、10代の子どもたちに対するHIVの取り組みが急務だ、と警鐘を鳴らした。

世界では2012年時点で210万人の10代の子どもがHIVに感染している。報告書によれば、低中所得国で暮らすHIV感染者で治療を必要とする人のうち、実際に治療を受けたのは64%。だが子どもに限ると、この割合はわずか34%だった。

UNICEFのアンソニー・レーク事務局長は「“効果の高い取り組み”を拡大すれば、2020年までに、10代の子どもたちのHIV新規感染を半減することは可能」と指摘する。

効果の高い取り組みとは、コンドームの使用、抗レトロウイルス(ARV)薬を使った治療、母子感染の予防、任意での医学的な男性割礼、適切な行動を促す広報活動などだ。

10代のエイズ関連死が増加する一方で、HIVの母子感染予防は大きな進展を遂げた。乳児のHIV新規感染数は、2005年の54万人から2012年は26万人へと半減した。

この成果を呼び込んだひとつが、「オプションB+」と呼ばれる簡素な投薬法だ。ARV治療では通常、1日最大6錠を服用しなければならない。ところがオプションB+は、1日1錠の薬を生涯にわたって服用し続ける。このやり方だと、HIVに感染した女性は、妊娠中や分娩時、母乳育児中でも効果的に治療を続けられるという。

オプションB+が導入されたのは、2011年にマラウイでだ。その後、急速に広がり、2013年6月までに、2015年までに子どものHIV新規感染の根絶を目指し、国連が立ち上げたキャンペーン「グローバルプラン」に参加する22カ国のうち13カ国で採用されるようになった。13年8月からはコンゴ民主共和国でもスタートしている。

こうした取り組みが奏功し、サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカ諸国のHIV感染率は大きく下がった。2009年と2012年を比較した乳児へのHIV感染状況は、ガーナで76%減少したのを筆頭に、ナミビア58%、ジンバブエ55%、マラウイとボツワナ52%、ザンビアとエチオピア50%とそれぞれ減っている。

報告書はまた、「エイズのない世代」は現実のものになりつつある、との見方を示す。イノベーション(技術革新)と新たな取り組みが試されることで、エイズ治療はより効果的に、効率的に、そしてより利用しやすくなった。ザンビアやマラウイでは、携帯電話に子どものHIV検査結果が届くようになった。これは早期治療を可能にする。

レーク事務局長は「エイズのない世代を実現させるために、世界はすでにその術をもっている」と期待を寄せる。