【ガーナNOW!女子大生は見た(6)】アフリカンヘアに挑戦してみた、女子のオシャレは時間・体力・お金が欠かせない!

ガーナ大のオシャレな女の子たち。友人の誕生会で

ガーナの女の子のヘアスタイルはとってもオシャレだ。首都アクラの街中やガーナ大学のキャンパスを歩いていても、日本では見たことがない個性的な髪型が目を引く。

ガーナ大の女子大生の間で主流なのは、「ラスタヘア」と呼ばれる、地毛に編み込む長い付け毛。毛の色もカラフルで、黒はもちろん、赤、黄、紫、茶などさまざまだ。

ガーナ大に留学して3カ月半、私はついに、念願のラスタヘアに挑戦することにした。今回は、ガーナのオシャレの舞台裏から、写真付きのレポートをお届けする。そこには計り知れない苦労と感動があった。

■付け毛は合成繊維250円・人毛7500

ガーナには、個人経営の小さなサロンが無数にある。私は、ガーナ大のすぐそばにあり、中年夫婦が経営するサロンに入った。そこでは中年女性の美容師たちがフルタイムで働いている。聞けば、みんなアクラの美容学校出身で美容師免許をちゃんともっているという。

サロンは予約制だ。店に入ってまず、店頭に置いてある「付け毛」の中から自分が好きなものを選ぶ。マーケットで事前に買った付け毛を持参してもいい。

付け毛は大きく分けて「合成繊維」と「人毛」の2種類がある。合成繊維の多くは、隣国のナイジェリアやトーゴ、またはアメリカ経由で中国のものなどが輸入されている。値段は5セディ(約250円)程度とお手ごろ。これに対して人毛は、ブラジルやインドから入ってきていて、高級なものは約150セディ(約7500円)と値が張る。

私は悩んだ末、黒とワインレッドの合成繊維の付け毛を選んだ。

次に、希望のスタイルを美容師に伝える。私は、目の細かい三つ編みのラスタヘアをオーダーした。ラスタヘアの場合、長さだけでなく、編み込みの大きさから色のパターンまで細かく指定できる。ガーナの女の子は、ヘアスタイルにとことんこだわるのだ。

ユニークなのは、客の年齢層がとても幅広いこと。小学生から大学生、主婦、お年寄りまで美容院でラスタヘアをセットする。オシャレに年齢は関係ないと私は思った。

■8時間3000円でラスタヘアが完成!

髪をシャンプーして、乾かしたら、いよいよ編み込みの始まりだ。店の前の道路に面したオープンスペースにあるいすに私は座り、4人の美容師が私を取り囲む。

私の心はウキウキしていた。陽気な美容師たちは、大音量で流れるガーナのポップミュージックのリズムに乗って体を動かし、ハミングしたり、世間話に花を咲かせながら付け毛を地毛に編み込んでいく。なんとも楽しい雰囲気だ。

しかし楽しいと感じたのは最初の2、3時間だけ。5時間も過ぎると、お尻が痛くなってきた。立ちっぱなしで編み込みする美容師たちもずいぶんとお疲れの様子だ。

店長は、腹ペコの私に気を使って、揚げたヤムイモと炭酸ジュースを差し入れてくれた。日本の美容院と比べるとサービスは洗練されていないけれど、ガーナならではのあたたかいおもてなしが胸に染みた。

ただその日は夜中になってしまったので、ひとまず時間切れ。翌朝にまたサロンを訪れることになった。

そして翌日。編み込みの作業をさらに続けること3時間、ようやく私のラスタヘアが完成した。髪を伸ばしたことのない私にとって、腰まであるセーラームーンのような髪の毛は感動だった。

かかった時間はおよそ8時間。料金は、付け毛代とシャンプー代あわせて60セディ(約3000円)。膨大な時間と労力がかかったが、それだけの価値はある、と私は嬉しかった。

■頭皮の痒みで眠れぬ夜が続く

ところが夜になって異変が起きた。頭皮が異様に痒くて眠れないのだ。髪の付け根が真っ赤にかぶれ、ピリピリと痛む。

私は夜通しもがき、苦しんだ。心配したガーナ人のルームメイトは「大丈夫よ。最初の数日は痛みや痒みがあるものなの。少し我慢すれば良くなるわ」と励ましてくれた。

日本人の髪は、ガーナ人の髪と比べてやわらかくて滑りやすい。このため、付け毛が取れないよう、きつく編み込む必要がある。これが原因で、私の頭皮は強く引っ張られ、痛みや痒みを感じるのだ。

4日経っても痒さは収まらない。眠れない夜が続く。私は、ラスタヘアをもう外そうとさえ思った。そうした矢先、フランス人留学生が「ヘアクリームを頭に塗るといいよ」と教えてくれた。彼女もラスタヘアで苦しんだ経験があり、ヘアクリームで痒みから解放されたらしい。

私はさっそく、「JEBA」というブランドのヘアクリームをルームメイトから借りて、頭皮につけてみた。するとうそのように、痒みが引いていった。こうして平和な夜が戻ってきたわけだが、アフリカの女の子のオシャレは楽ではないな、と私は身を持って思い知った。

付け毛を装着している間、髪は一切洗わない。3週間後に、フケと痒みがひどくなってきたので、私はサロンに行き、付け毛を外した。美容師が一本ずつ手作業でほどいていくから、2時間もかかった。強く髪を縛っていたせいで、地毛がチリチリパーマのようになっていて驚いたが、シャンプーしてポマードをつけると元に戻った。

■生活費の2割が髪代に消える?

ラスタヘアを経験して私は、ガーナ人の女の子は髪の毛にどれぐらいの時間とお金をかけているのか気になった。ガーナ大学の友人と職員合計10人に質問してみた。

平均すると2カ月に1回のペースでサロンに行き、付け毛をしているようだ。付け毛の寿命は2週間~1カ月半。1回当たりかかる費用は、付け毛代と作業代あわせて約40セディ(2000円)。これ以外に、フケやニオイを和らげるためのスプレーも欠かせない。

付け毛を外した後は通常、1~3カ月は髪を休ませる。その間も、髪を洗ってもらうために、週に最低1回はサロンへ通う。1回の洗髪代は4~6セディ(200〜300円)だ。髪を洗った後は、大量のポマードで整える必要もある。

ちなみにガーナ大の女子大生数人に聞いたところ、1カ月に家族からもらう生活費は約100~200セディ(5000~1万円)。大まかに計算すると、生活費の2割は髪代に消える。

「アフリカンヘアは楽じゃないわ。でも、次はどんな髪型にしようかなってイメージするだけでワクワクするの」と、ガーナ大の女友だちは言う。ガーナでも“髪は女の命”。髪の毛はガーナの女の子にとって悩みの種であると同時に、大きな楽しみでもあるのだ。

ガーナ大近くの小さなヘアサロン

ガーナ大近くの小さなヘアサロン

バラエティ豊富な付け毛

バラエティ豊富な付け毛

小学生は付け毛を使わず、地毛を編み込む

小学生は付け毛を使わず、地毛を編み込む

店の前のオープンスペース。ここで編み込み作業をする

店の前のオープンスペース。ここで編み込み作業をする

筆者の髪を編み込む陽気な中年美容師たち

筆者の髪を編み込む陽気な中年美容師たち

ラスタヘアにした筆者(右)と友人

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付け毛を外した筆者

付け毛を外した筆者

ちょっと奇抜なラスタヘア。個人の好みでスタイルは自由自在だ

ちょっと奇抜なラスタヘア。個人の好みでスタイルは自由自在だ