低体重(2500グラム未満)で生まれた新生児の数が2015年は世界全体で約7人に1人に当たる2000万人以上にのぼる、と国連児童基金(UNICEF)は5月16日、明らかにした。低出生体重児の割合は2000年から2015年まで年1.2%のペースで下がったものの、世界保健機関(WHO)の削減目標である年2.7%を大きく下回る。UNICEFの専門家らは「低出生体重児を減らすための各国政府の努力が少なすぎる」と警鐘を鳴らす。
この数字は、UNICEF、ロンドン大学、WHOの専門家らが148カ国の2億8100万件の出生データを分析し、算出したもの。低出生体重児の約4人に3人が南アジアまたはサブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカで生まれている。また欧州や北米などの高所得国でもその割合は7%前後と低くない。世界全体で低出生体重児の出生率低下に大きな前進が見られていないという。
問題は、先進国を含む各国政府が、低出生体重児を減らすための努力を十分にしていないことだ。WHOが2012年に設定した目標は、2012年から2025年までに低出生体重児の割合をおよそ14%から9.8%に減らすとしている。目標を達成するには年2.7%のペースの減少が必要。しかし今回の分析では、2000年から2015年にかけての減少の割合が年1.2%と、目標の半分にも満たない。
世界で毎年死亡する250万人の新生児のうち80%以上は低出生体重児だ。2500グラム未満で子どもが生まれる要因は、極端に若いまたは高齢な妊娠年齢、多胎妊娠(2人以上の子どもを同時に妊娠すること)、分娩合併症などの妊婦の慢性的な症状、栄養状態、薬物使用など。低所得国では子宮内での不十分な発達、中所得以上の国では早産(妊娠37週未満での出産)が主な原因となっている。
専門家らはまた、世界の約3人に1人が出生時の体重の記録がないことも指摘した。低体重で生まれてくる新生児を助けるためには、より多くの正確なデータを収集しなければならない。「今回の調査結果は、低出生体重の問題についての理解と改善への取り組みを、世界に働きかけるきっかけとなった。低出生体重児とその家族に質の高いケアを提供していかなければいけない」と専門家らは今後の進展を促した。