ミャンマー最大の都市ヤンゴンで近年、ごみ問題に関心をもつ若者が増えている。ヤンゴンの街はビルとビルの合間に水路があり、それに付随した裏道がある構造になっているが、そこはペットボトルやプラスチック袋のたまり場になっている。そういった場所を掃除する活動「クリーン・ヤンゴン・キャンペーン」がいまブームだ。
クリーン・ヤンゴン・キャンペーンは、2017年に市民団体とヤンゴン管区政府が2017年に立ち上げたもの。当初は公園や道路に落ちたごみを拾っていた。最近はビルとビルの間の水路を囲む裏道を掃除し、子どもの遊び場や通路として使えるようにしている。これを「クリーンアップ・チャレンジ」と呼ぶ。
活動は毎月ある。掃除する様子がソーシャルメディアで拡散されたことも手伝って、ミャンマー人、外国人あわせて約500人が毎回参加するという。
17歳のアウンカウンテさんは、5月1日にヤンゴン中心部のボーガレゼー通り近くで行われた清掃活動に参加した。朝7時から8時間かけて、シャベルやモップを使って裏道をきれいにする。アウンカウンテさんが担当したのは、みんなが集めたペットボトルや泥で一杯になったかごを2人がかりで運ぶ係。重労働だ。
途中で体調を崩した人もいた。医療チームのボランティアスタッフがケアをする。下水道のパイプが破裂して、口や目に汚い水が入った人もいたが、怒ったり、やめたりした人は皆無。アウンカウンテさんも「午後は雨が降ったけど、意外に楽しく仕事ができた」と話す。
現場には、昼食や飲み物を提供する団体もスタンバイ。ボランティアに配っていた。
ごみを片付けた裏道はその後、「ドー・エイン」という市民団体が壁に絵を描き、子どもが遊べる公園に生まれ変わった。こうした取り組みはヤンゴン各地で行われており、「ヤンゴン・ウォールズ」として、ヤンゴンの新たな名所になりつつある。
アウンカウンテさんがこの活動に参加したのは2回目だ。これ以外にも、自ら仲間を集めて、ごみ捨て場のようになっていた大学近くの道路を清掃するプロジェクトを立ち上げた。「汚い場所がきれいになるのは嬉しい」とアウンカウンテさん。空いている時間に参加できるので、自由度は高い。活動を通して新たな友人と出会えるのも貴重だ。今後も続けていくつもりだという。
街をきれいにする活動がヤンゴンだけでなく、ミャンマー全土に広がればどうなるか。清掃に参加した人は少なくともごみのポイ捨てはやめるだろう。