BOPビジネスの肝は「自社のリソースと現地住民のアイデア」、リコーがインド北東部で「プリントショップ」「ウーマンショップ」を出店

「リコーが持つ技術やスキルを利用してインドの起業家を育成したい」。リコー環境推進本部社会環境室CSRグループの赤堀久美子シニアスペシャリストは11月28日、東京富士大学学術研究会が開いた公開講座「これからの日本企業とBOPビジネス」で同社のBOP(Base of the Pyramid)プロジェクトを紹介した。

リコーは2008年からインド北東部のビハール州で、写真を撮影・現像する店舗「写真プリントショップ」と女性向け製品を販売する店舗「ウーマンショップ」の出店を開始。隣のウッタル・プラデシュ州にも拡大し、2014年9月までに、「写真プリントショップ」は2店舗、「ウーマンショップ」は23店舗をオープンさせた。

リコーは、自社が有するリソースと現地住民のアイデアを上手く合わせてBOPビジネスを展開したいと考えている。そのため2度の現地調査を経て、住民のニーズを把握。写真への関心の高さの割に、カメラ保有者が少ないことが分かった。さらに、起業家志望の住民を訓練し、住民自身が自立して経営できる素地を作った。

「写真プリントショップ」は、写真のニーズに基づいてオープン。リコーのコピー・プリント技術を活用する。逆に「ウーマンショップ」は産業分野としてリコーは 門外漢だった。しかし、リコーは「女性にとって必需品である化粧品や下着を近くで買いたい」というニーズを吸収。自社の持つビジネススキルを提供した。 「ウーマンショップ」は好評で、現地女性の収入向上にも一役買っている。村の女性で出店を希望する者も増えているという。

「BOPビジネスの信念である現地の成長も、ビジネスとして利益を出すこともまだまだ不十分。今後も実験的に事業を展開しつつ、プロジェクトを拡大していきたい」と赤堀シニアスペシャリストは語った。