ganasサポーターズクラブ エッセーの会
  • 2021/01/15

バカと小者

*この記事は「ganasサポーターズクラブ」の「エッセーの会」に参加されているパートナー/サポーターの方の作品です

世界をおかしくするのはいつもバカと小者だ。
問題を提議する前にまずこの二者を定義しておく。

バカとは「エゴイスティックで無知&無恥な者」
小者とは「保身欲が強く、周りの目をきにする小心者」

この二者を理解すると世界の問題が見えてくる。

例えば今回起きたアメリカ議会の占拠事件。アメリカ大統領ドナルド・トランプの支持者は、1月6日、ジョー・バイデン氏を次期大統領に任命する議会の審議を邪魔するため、ワシントンの議会に侵入、占拠した。これにより警官1人を含む5人が死亡した。あるトランプ支持者は下院議長席に足をかけて座り、またある支持者はペロシ氏の机に座って重要書類の封筒を開けるところを自撮りした。

これはバカが起こした事件と言えるだろう。バカの親玉、トランプが「選挙は盗まれた」、「民主党は中国と結託し、アメリカを売り飛ばそうとしている」など、証拠のない発言を繰り返し、挙げ句の果てに「バイデン氏の就任に反対する共和党議員を応援しよう」と、支持者に対して議会に向かいよう指示した。

高校卒業レベルの思考力と、11月3日のアメリカ選挙の情勢、そして常識があれば、証拠のない選挙不正を肯定できるはずがない。

社会生活にはメディアという情報を伝える媒体が多々あり、その情報をもとに私たちは判断を下す。これを信じないということは、高い可能性で確かな情報を否定することになる(100%正しいとは言わないまでも)。

もしそれを否定するならば否定するだけの証拠を示さなければならない。そうでなければ不正だ!フェイクだ!という主張はただのエゴイスティックなわがままか、狂言者の戯言とみなされるだろう。数多くのメディアが裏付けを取った上で流している情報は残念ながら、ネットワークを持たない個人の主張より信頼度が高い。

しかし残念ことにトランプ信者はメディアを嘘だと断言し、自分たちが主張する何の根拠もない「選挙不正」を前面に押し出す。

「バイデンのようなもうろくジジイがトランプより票をとるはずがない」
「私の知り合いはみんなトランプに入れている」

このような選挙不正の根拠になりようがない主張を大きな声で叫ぶトランプ支持者。彼らに対してはもう怒りを通り越えて、哀愁すら覚える。かわいそうなほど無知であり無恥だ。

この一件はアメリカ国民の半分とは言わないが4分の1くらいはバカな国民であることを露呈してしまった。トランプは感情的で論理的な思考を展開できない無知無恥な人間だが、そんな人間が大統領だったのだから。そしてバイデンが当選を確実にすると、議会占拠という武力に働きかけた。アメリカは、今後、中東や南米の国に対して民主主義を説く資格はない。

では小者による問題とはどういったものか?

日本の政治全般がそうと言えるだろう。政治というと政治家だけが悪いと思われがちだが、彼らと同等かそれ以上に悪いのが役人などの国家公務員だ。

例えば去年問題になった桜を見る会。「参加者の名簿がない、破棄してしまった、データにも残っていない」と内閣府役人は国会で答弁する。森友学園の不正土地移譲に関しても佐川前理財局長は、「土地売買で問題はなかった」と、10億円も値引きされた不正取引を肯定する。

言い出しっぺの政治家がバカであることは間違いないのだが、問題はその周りにいるお連れの方たち。かれらは権力に従う犬。嘘をつこうが不正をしようが、昇進や天下り先への再就職など自分たちの利益に繋がるとなれば、しっぽをふって権力に媚びへつらう。

公人とは公に勤める者。国民のために仕える人のはず。そんな彼らが向いているのは国民ではない。自分の安定と利益を提供してくれる権力者の方だ。これを小者と呼ばずしてなんと呼ぼうか。

第二次世界大戦後、エルサレムで開かれたアイヒマン裁判を傍聴したハンナ・アーレントが言った言葉「凡庸の悪」とはまさに、理性に従わず私欲と権力に媚びへつらう人間の陳腐さを皮肉った言葉だった。

今回アメリカと日本での二つの例を挙げた。これを比較するとこの2カ国の違いが見えてくる。両方とも多くのバカと小者を抱えるが、総じてアメリカにはバカが多く、日本には小者が多いと個人的に感じる。

アメリカの国家元首がバカと無知恥の象徴トランプで、日本の総理大臣が記者会見で目を泳がせる小者中の小者、菅義偉。選挙で選ばれた行政の長が国民のレベルを表すというがまさにその通り。恥ずかしいことに、アメリカは自分たちがバカであることを、そして日本人は自分たちが小者であることを、選挙を通して世界に知らしめた。

最後にもう一つ、ある国を紹介したい。ウガンダだ。今日(1/14)ウガンダでは大統領選挙が行われている。注目は独裁者ムセベニ対ミュージシャンでアクティビストのボビ・ワイン。ムセベニによる選挙不正は心配だが、普通に選挙をしたらボビ・ワインが勝つだろうと、友人のエリサベスさんは教えてくれた。それほど今、ボビ・ワインは優勢なのだ。

ウガンダ人は今、ムセベニの権力や弾圧に屈せず、理性的にボビ・ワインを支持し、勇気を持って彼に投票している。自分たちの力で平和的に独裁に終始歩を打とうとしている。

彼らはバカでも小者でもない。賢く、そして勇敢だ。

願わくば、今回の選挙で不正がなく、平和的に政権交代が行われることを祈る。独裁者ムセベニがバカでなく、今でもアフリカン・フリーダム・ファイターであることを世界各国に示してほしい。

 

(サポーター/TK)

*この記事はganasサポーターズクラブのエッセーの会に参加するパートナー/ サポーターの方の作品です。
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*文責は筆者にあり、ganasの主義・主張ではありません。