2015-07-14
アムネスティ、欧州の取り組みで難民海難犠牲者急減
欧州各国が地中海で遭難した人びとの捜索と救助を強化した結果、地中海を渡る移民や難民の死者が劇的に減少した。
今年1月から4月までの4カ月、この緊急措置が取られる前、地中海を渡ろうとした6人に1人が命を落としていた。ところが、5月と6月は、各国による捜索・救助活動の強化で、427人に1人という割合にまで減少した。
アフリカ海岸から欧州南部への避難民の数が、急増しているにもかかわらずだ。年初4カ月間で2万8千人弱だったのに対し、5月、6月のわずか2カ月で4万2千人以上と、3倍のペースで増えている。
必要とされている捜索救助を強化すれば人命は救える。今回の結果は、そのことを如実に物語っている。逆に、規模を少しでも縮小すれば、犠牲者は増えるだろう。地中海を渡る人の数がピークを迎える夏を間近に控え、欧州各国は海上での悲劇をこれ以上増やさないという公約を守るべきだ。
昨年末、イタリアの海洋救出作戦が終了した後、死亡者数が急増した。年初からの4カ月はEU各国の支援がなく、1,721人が地中海上で落命した。4月にはわずか1週間で、死者・行方不明者数が1,200人以上にのぼったこともあった。
EU首脳は、4月23日の緊急首脳会議で、EU国境管理局が指揮する作戦への拠出を3倍にすること、および地中海のパトロールへの海軍支援の増加を決定した。それ以降の犠牲者数は、99人に留まっている。