2015-07-22

外務省、中国による東シナ海での一方的資源開発の現状

1 近年,中国は,東シナ海において資源開発を活発化させており,政府として,日中の地理的中間線の中国側で,これまでに計16基の構造物を確認している。

2 東シナ海の排他的経済水域及び大陸棚は境界が未画定であり,日本は日中中間線を基にした境界画定を行うべきであるとの立場である。このように,未だ境界が画定していない状況において,日中中間線の中国側においてとは言え,中国側が一方的な開発行為を進めていることは極めて遺憾である。政府としては,中国側に対して,一方的な開発行為を中止するとともに,東シナ海の資源開発に関する日中間の協力について一致した「2008年6月合意」の実施に関する交渉再開に早期に応じるよう,改めて強く求めているところである。

(参考)東シナ海における資源開発に関する我が国の法的立場

1 日中双方は、国連海洋法条約の関連規定に基づき、領海基線から200海里までの排他的経済水域及び大陸棚の権原を有している。東シナ海をはさんで向かい合っている日中それぞれの領海基線の間の距離は400海里未満であるので、双方の200海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分について、日中間の合意により境界を画定する必要がある。国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に照らせば、このような水域において境界を画定するに当たっては、中間線を基に境界を画定することが衡平な解決となるとされている。(注:1海里=1.852キロメートル、200海里=370.4キロメートル)

2 (1)これに対し、中国側は、東シナ海における境界画定について、大陸棚の自然延長、大陸と島の対比などの東シナ海の特性を踏まえて行うべきであるとしており、中間線による境界画定は認められないとした上で、中国側が想定する具体的な境界線を示すことなく、大陸棚について沖縄トラフまで自然延長している旨主張している。

(2)他方、自然延長論は、1960年代に、隣り合う国の大陸棚の境界画定に関する判例で用いられる等、過去の国際法においてとられていた考え方である。1982年に採択された国連海洋法条約の関連規定とその後の国際判例に基づけば、向かい合う国同士の間の距離が400海里未満の水域において境界を画定するに当たっては、自然延長論が認められる余地はなく、また、沖縄トラフ(海底の溝)のような海底地形に法的な意味はない。したがって、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの考えは、現在の国際法に照らせば根拠に欠ける。

3 このような前提に立ってこれまで、我が国は、境界が未画定の海域では少なくとも中間線から日本側の水域において我が国が主権的権利及び管轄権を行使できることは当然との立場をとってきた。これは中間線以遠の権原を放棄したということでは全くなく、あくまでも境界が画定されるまでの間はとりあえず中間線までの水域で主権的権利及び管轄権を行使するということである。したがって、東シナ海における日中間の境界画定がなされておらず、かつ、中国側が我が国の中間線にかかる主張を一切認めていない状況では、我が国が我が国の領海基線から200海里までの排他的経済水域及び大陸棚の権原を有しているとの事実に何ら変わりはない。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/tachiba.html