JICA、民間提案型のPPPインフラ事業調査で、3件の採択を決定
国際協力機構(JICA)は、官民連携で取り組むPPP(Public Private Partnership)インフラ事業に関し、民間企業からの提案に基づき事業計画を策定する「協力準備調査(PPPインフラ事業)」の調査事業3件の採択を決定しました。(別表:採択事業一覧表参照)これらは、2015年3月31日に公示したもので、通算10回目となります。
今回採択した3件は、インドネシアやタイ等における空港や貨物鉄道など、各国における重要な輸送網の改善に貢献すべく、民間企業により提案されたPPPインフラ事業の事業計画を策定するものである。これらは、我が国が有する技術・ノウハウをもとに、各国の交通インフラをより効率的・持続的なものとする事業であり、本年5月に政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」の実現に資するものです。事業概要は、以下のとおりです。
〇インドネシア「航空ネットワーク再構築によるマカッサル空港拡張・運営事業準備調査」
インドネシアでは、同国東部スラウェシ島マカッサル市にあるマカッサル空港を同地域のリージョナル・ハブ空港として拡張することで、国際線・国内線ともに一極集中しているジャカルタ国際空港の航空機離発着回数が減少することによる混雑解消や、同国東部地域とのコネクティビティの強化と地域経済発展に繋げる取り組みを支援します。
〇タイ「南部経済回廊貨物鉄道整備事業準備調査」
タイでは、ASEANの大動脈の一つである南部経済回路のうち、タイ国鉄が所管する鉄道貨物システムの改良・近代化を行い、鉄道貨物輸送事業の運営・管理を通じて、我が国の民間企業も進出するタイ南部地域の物流促進と地域経済の活性化に貢献することが期待されます。
〇パラオ「パラオ国際空港改修運営事業準備調査」
観光客の増加が著しいパラオでは、パラオ国際空港の機能強化に向けてターミナル施設の改修・拡張及び付帯設備の改修を行うとともに、運営・維持管理を行う事業の実施を通じて、同国基幹産業である観光産業の発展に貢献することを目指します。
新興・開発途上国におけるインフラ整備においては、建設段階のみならず、完工後の運営・維持管理を含めたインフラ事業の一部に民間活力を導入し、さらに高い効果と効率性を目指す、官民協働によるPPPインフラ整備の動きが世界的に拡大しています。こうした事業においては、官民の適切な役割分担を策定するために、事業形成の初期段階から官民が連携して取り組むことが重要となります。
協力準備調査(PPPインフラ事業)は、官民双方の役割分担を含むPPPインフラ事業全体を対象に、事業化に向けた計画策定を行うことを目的としています。また、日本政府が推進する成長戦略において重要政策課題とされている、我が国民間企業の強みを活かした海外でのインフラシステム輸出に対する具体的推進策のひとつとなっています。
JICAは、今後も、膨大なインフラ整備需要を抱える開発途上国を支援するため、我が国民間企業の資金や活力を効果的に引き出し、活用する役割を、本調査制度を活用・改善しながら推進し、開発途上国・民間セクター・日本がWin-Win-Winとなる官民連携の構築を進め、より効果的で効率的な援助を目指して活動していきます。