2015-10-15

環境NGOが報告書を国際共同発表 「石炭への公的支援:日本のせいでOECDは新興国に後れをとることになるのか?」

日本及び国際環境NGOの6団体は2015年10月15日、石炭火力発電プロジェクトに対する日本政府の公的支援の方針における問題点を指摘する報告書を共同発表した。

世界では、経済協力開発機構(OECD)の輸出信用機関(ECA)による石炭火力発電プロジェクトへの公的支援を制限しようとする動きが主流となりつつある中、日本政府は継続支援の必要性を訴えている。日本政府は、「OECDによる石炭火力発電プロジェクトへの公共支援を規制すれば中国などの非OECD諸国からの効率の低いプロジェクトを増加させてしまう」と主張している。

この点について、報告書では次の点を明らかにしている。

・米中会談において中国が国内外の石炭プロジェクトに対する公的支援を制限することを表明。インドも低効率な亜臨界圧石炭火力発電の建設を禁止する中、日本だけが石炭に固執している状況となってきている。

・調査の結果、中国、韓国、日本から南アジアと東南アジアで運用中・建設中・計画中の超々臨界圧(USC)の石炭火力発電の発電容量は、中国2,680MW、韓国2,680MW、日本2,000MWとほぼ拮抗しており、日本から提供される石炭火力発電設備が必ずしも高効率ではない実態が明らかとなった。

・これらにより、高効率な石炭火力発電へのOECD加盟国による公的支援が低炭素化に欠かせないとする日本政府の主張の論拠を覆すことになる。

以上の点から、報告書では、OECDにて11月16日~20日にかけて石炭火力発電への公的支援のあり方に関する交渉が行われるのに際し、気候変動を防ぐ目的のために、一刻も早くOECD加盟国で足並みをそろえ、石炭プロジェクトに対する公的支援を中止し、よりクリーンな再生可能エネルギー技術への支援に切り替えていかなければならないと指摘している。

プレスリリース:http://sekitan.jp/jbic/?p=1333