シリア難民の第三国定住は目標の半分の25万人にとどまる、UNHCRが警鐘
シリア紛争から6年が経ち、シリアからの難民が500万人を突破した中、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は国際社会に対し、より一層の支援が必要であると訴えました。
「難民の第三国定住およびそれに順ずる受け入れの種類や範囲を拡大するための道のりはまだ長いです。この課題に対応するためには、受け入れ枠を増やすだけではなく、すでに公約したことを実行することが必要です」と主張しています。
ちょうど1年前の2016年3月30日にスイスのジュネーブで、シリア難民受け入れに関する閣僚級会合が開かれました。会合では、2018年までにシリア難民のおよそ10%にあたる50万人を第三国定住で受け入れる公約を求めましたが、現在までに25万人の枠しか提供されていません。
「こうした寛大な公約は、国際社会の連帯と責任分担を意味する、歓迎されるべき重要な象徴です。シリアの難民問題の解決を達成するためには、2017年以降も努力をより一層行う必要があります」と、グランディ高等弁務官は説明しました。
2016年9月には難民と移民の保護の強化を求める「ニューヨーク宣言」が採択され、国連加盟国は、UNHCRが第三国で保護や支援が必要と特定したすべての難民に対し、定住先を探す努力をより一層行っていくことを誓いました。UNHCRは、2017年に第三国定住が必要な難民は約120万人に上ると予想しています(うち40%がシリア難民)。
グランディ高等弁務官は、「第三国定住は難民を保護する極めて重要な仕組みです。最も支援を必要としている難民のみが、第三国定住に推薦されます。こうした理由から、UNHCRは各国と協働し、第三国定住や、それに順ずる受け入れ枠の種類と範囲を拡大することを目指します。多くの国が経験しているはずですが、第三国定住は難民に生活を再建する機会を与えるだけでなく、受け入れたコミュニティをより多様性のある豊かな社会にしてくれます」と強調しています。