全世界で100億円規模の緊急子ども支援、新型コロナでセーブ・ザ・チルドレン
子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、新型コロナウイルス感染症が世界規模で猛威を振るうなか、全世界で約100億円規模の緊急子ども支援を開始しました。
私たちは、感染症流行初期から、中国やアメリカ、ヨーロッパをはじめとする感染症の影響を受けた国々でコミュニティへの支援をしてきました。現在、この感染症は、南アジアやサブサハラ・アフリカへも拡大し、今週には、アフリカ大陸全土で感染者数は1万人にのぼると言われています。セーブ・ザ・チルドレンは、直ちに低所得国での支援を開始しなければ、300万人の人々が犠牲になると警鐘を鳴らします。
セーブ・ザ・チルドレンが開始した新型コロナウイルス感染症 緊急子ども支援では、感染症により甚大な負の影響を受ける、とくに脆弱な貧困国や紛争下、難民の子どもたちやそのコミュニティ、少女たちを中心に支援します。
感染者が確認されたシリアやアフガニスタン、感染症流行への懸念が高まるイエメンやロヒンギャ難民キャンプのあるバングラデシュでは、脆弱な保健医療体制、食料不足や不安定な経済、紛争などにより、感染症流行した場合の犠牲の大きさに対して不安が募っています。
すでに世界中で15億人の子どもたちが学校に通えなくなっており、この状態が継続した場合、日に日に、これらの子どもたちの学習面へおよぼす負の影響も懸念されています。また、深刻な貧困に直面する国々では、いま以上に状況が悪化し子どもたちは児童労働や児童婚を強いられる可能性があります。くわえて、もともと社会福祉サービスが限られているなかで、家庭内での暴力や虐待に直面している子どもたちが自宅で過ごす期間が長くなることで、子どもたちが暴力に遭う危険性がさらに高まります。
過去数週間のあいだ、セーブ・ザ・チルドレンは、世界各地で既存の支援活動をより強化してきました。ロヒンギャ難民キャンプやその周辺地域、そして、バングラデシュの各地では、ヘルスワーカーへの支援や、公衆衛生施設の修繕、現金給付、感染予防の情報を家族へ提供するなどの活動をしています。
イエメンでは、手洗いやその他の衛生習慣の啓発活動や、研修を受けたボランティア80人とヘルスワーカー20人を通してコミュニティや保健医療施設に対してこの感染症に関する情報を提供しています。
セーブ・ザ・チルドレンは、世界44ヶ国で50万人のヘルスワーカーと活動を行っており、今後半年間に、新型コロナウイルス感染症の症状の把握と理解、感染予防のために彼らを支援するとともに、新たにヘルスワーカー10万人の育成に取り組みます。一連の取り組みは、コミュニティと共同で進められることにより、感染予防の方法が周知されやすく、また、感染者の早期発見や必要な治療につなぐことなども期待されます。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長インゲル・アッシンは次の通り訴えます。
「新型コロナウイルス感染症により、国内外で人々の生活が一変している状況を目の当たりにしています。世界的な感染症の流行は、世界で最も貧しい国へも拡大しており、そこでは、すでに子どもたちの命を守るためのマラリヤや肺炎、栄養不良の治療が受けられないくらい脆弱な状態の保健医療体制をさらに危機的な状態にします。
多くの子どもたちが親や養育者を亡くしたり、学校に通えなくなったり、危険な状態に陥ってしまうでしょう。私たちに残された時間はわずかしかなく、一刻も早く行動を起こすことで、多くの子どもたちの命を守ることにつながります。
私たちは、これまで経験したことがないような危機のさなかにあります。世界は国境を閉ざし、脆弱な保健医療体制は感染症の世界的大流行のなかで成す術もなく、こうした状況下で、感染率を下げるための準備と取り組みは、生死を分けることを意味します。
世界には、保健医療サービスが利用できない、安全な水が入手できない、読み書きで課題を抱える多数の家族がいます。そうした人たちが、感染症から守られるために必要な支援や情報が手に入れられるよう保障しなければなりません。
極度の貧困状態におかれたコミュニティでは、子どもたちが、より幼い子どもたちや大人の世話を担っていたり、あるいは、家族のなかで唯一文字を理解し情報を得ることができたりするため、感染率を低くするためには、最も取り残された子どもたちや、社会の中で周辺化されたコミュニティに暮らす子どもたちが重要な役割を担います。一人ひとりが安心・安全な状態になるためには、すべての人の安心・安全な環境が確保されなければならず、世界のすべての人にとってこれは非常に重要なことでもあります。」
・プレスリリースはこちら。