2022-03-10

世界の小麦輸出の3割を占めるロシアとウクライナ、「世界的な飢餓が拡大する」とワールド・ビジョンが警鐘

今般のウクライナにおける紛争は、直接的な影響を受ける人々の生活を破壊しているだけでなく、他の数十カ国における飢餓の危機も悪化させていることを警告します。

「ウクライナでの紛争は、世界の小麦価格の急騰を招き、世界的に深刻な食料価格高騰が起きた2008年以降で最も高い水準に達しています。これは、ロシアとウクライナが世界の小麦の約3分の1にあたる29%を輸出しているためです。小麦は、今まさに飢餓の中にある人々や、その恐れがある人々に届けられる必需品です」

こう語るのは、ワールド・ビジョンで外部エンゲージメント&リソース開発部門の災害管理シニアディレクターを務めるアマンダ・ライヴスです。

国連世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長は、穀物の半分をウクライナやロシアから調達しているため、紛争によって、世界で最も弱い立場にある1億2,000万人に食料を届けることができない可能性があると指摘しました。WFPのパートナーであるワールド・ビジョンは、すでに飢餓の危機に瀕している数百万人もの人々について、非常に憂慮しています。この紛争の影響による配給の削減が確実に回避されるよう、国際社会に要請します。

「新型コロナウイルス感染症の影響により、援助国政府は昨年、世界で最も厳しい状況にあって飢えに苦しむ人々への食料支援資金を削減しました。しかし今度は、ウクライナでの紛争により、食料支援へのリスクがさらに高まることが予想されます。アフガニスタン、シリア、南スーダン等の国々で、紛争等のために故郷を追われた家族は、生き残るために支援に頼っているのが現実です。そして、国際社会が今すぐに行動を起こさなければ、その非常に基本的な食料支援ですら削減される可能性があるのです」と、ライヴスは述べます。

ワールド・ビジョンは、ウクライナやその周辺国での支援活動を行う一方で、世界中で紛争や気候変動、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている数百万の人々への支援を継続しています。

「世界がウクライナの危機に注目する一方、世界中で数百万人もの人々が飢餓の危機に瀕しているという、もうひとつの静かな危機が起こっています。その多くは子どもたちで、紛争のために故郷を追われ、その結果、食料をほとんど、あるいはまったく手に入れることができないのです」と、ライヴスは続けます。

「ウクライナでの紛争により、彼らが今受け取っている、命のためのわずかな食料が削減されるか配給を停止される可能性があります。この子どもたちが生き延びるには、国際的な支援が必要です。そして、子どもたちは支援を受けるに値するのです」

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