2022-06-16

なくならない慣習「女性器切除」、アフリカでは1億4000万人が経験

アフリカでは、すでに結婚している18歳未満の女の子と、子どものうちに結婚した成人女性の両方を合わせて、1億3,000万人が児童婚を経験しています。

子どもの権利を侵害する行為

ユニセフ(国連児童基金)は本日、アフリカにおける児童婚と女性器切除(FGM)に関するアフリカ大陸および地域別の報告書を発表しました。これらの報告書は、こうした慣習に関する最新情報を提供するとともに、アフリカ連合アジェンダ2063および持続可能な開発のためのグローバルアジェンダ2030に沿って、児童婚とFGMを終わらせるための取り組みを加速し、国内資源を増やすよう政府や地域組織に呼びかけています。

児童婚とFGMは、子どもの権利を侵害する行為です。しかし、アフリカ大陸の多くのコミュニティでは、女の子たちがどちらか、あるいは両方の脅威にさらされ続けています。児童婚の慣習は大陸全体に広がり、サヘル地域と中部・東部アフリカの一部の地域で最も高い水準となっています。世界で最も児童婚が多い10カ国のうち9カ国がサハラ以南のアフリカにあります(ニジェール、中央アフリカ共和国、チャド、マリ、モザンビーク、ブルキナファソ、南スーダン、ギニア、ナイジェリア)。またアフリカでは約1億4,000万人の女の子と女性がFGMを受け、そのうち4,000万人以上が児童婚を経験しています。

ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエは、「児童婚をなくすことは、ユニセフにとって重要な優先事項です。取り組みを加速させるために、影響をおよぼす分野に投資する必要があります。特に、児童婚の主な要因である貧困の削減、女の子に質の高い教育や学習を確保すること、そして女の子と女性が社会・経済生活に積極的に参加できるよう後押しする社会変革と行動変容が挙げられます。児童婚は、農村部に住む最も貧しい家庭や教育をほとんど受けていない人々の間で多く見られることから、多岐にわたる状況に応じた支援が必要です」と述べました。

紛争、気候変動などでリスク増加

アフリカでは、児童婚を大きく削減できた国もあれば、できていない国もあります。紛争、気候変動、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などが相まって、教育の中断や経済ショックなどが起こり、こうした危機の影響に対処するために親は子どもを結婚させる他なく、より多くの女性と女の子が児童婚のリスクにさらされています。

今年の「アフリカ子どもの日」(6月16日)のテーマは、「子どもに悪影響を与える慣習の根絶:2013年以降の政策と実践の進展」です。データによると、2030年までにすべての有害な慣習をなくすという「持続可能な開発目標5.3」の目標達成に向けて、アフリカでは依然として進捗が遅れていることが分かっています。もし加速しなければ、サハラ以南のアフリカでは、進捗の遅れと人口増加によって、今後10年間でさらに4,500万人の女の子が児童婚を経験することになるでしょう。

ユニセフ・東部・南部アフリカ地域事務所代表のモハメド・マリック・フォールは、「児童婚やFGMをなくすために、アフリカ諸国の政府がこれまでに投資したものとこれから行うべきことの両方を評価し、有害な慣習と闘うための国内資源を増やすことが成功の鍵です」と述べています。

有害な慣習を根絶するために

児童婚やFGMをなくすためのユニセフと国連人口基金(UNFPA)のグローバル・共同プログラムのような協調的な支援は、アフリカ大陸における有害な慣習を根絶する上で、これまで以上に重要になってきます。

アフリカにおける子どもの権利向上のための行動を加速させるため、ユニセフは各国政府や関係者に以下の通り呼びかけています。

・虐待や搾取などあらゆる形態の暴力を防止し、対応するため、子どもの保護プログラムへの投資を増やすこと。

・包括性を促進し、特別なニーズがある子ども、弱い立場に置かれている子ども、農村部で暮らす子どもなど、特に見過ごされがちな子どもたちに支援を届けること。

・子どもの保護、保健、教育、社会保護システムをより強固なものにするために、アフリカ大陸における制度を強化すること。

・子どもたちに変化をもたらすため、子どもたちと彼らが所属するコミュニティの参加など社会全体のアプローチを行うこと。

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