IOM、地中海における移住の傾向-点と点をつなぐ
IOMは、アルタイ・コンサルティングとともに、報告書『地中海における移住の傾向-点と点をつなぐ』(原題:Migration Trends Across the Mediterranean: Connecting the Dots)を発表した。
地中海西ルート、中央ルート上の国々での詳細な定量調査に基づいた報告書は、地中海を渡る移住についての議論に新たな示唆を与えるもの。
今回の調査結果によれば、全ての移民が欧州を目指している訳ではないという。多くの移民が最初は出身国周辺に移住し、その場所では安定や安全、希望していた機会が得られないとわかった後、ときには数年後に改めて移動する。リビアでの混乱のために、移民はリビア内で大きなリスクに直面し、国外に出なければならないと、より大きなプレッシャーを感じている。
移民はもし機会があれば、定期的に移動することを好む。そのため、人の密輸業者に頼らざるを得ない。調査によって、北アフリカにおける人の密輸業が組織化されていないことが明らかになっており、この状況が取り締まりを難しくしている。
アルタイ・コンサルティングの移住研究のディレクターで、報告書の著者のアレゾ・マラクーティ氏は、「人の密輸業者は、不正規移住への需要がある限り、そして正規移住の選択肢がない限り、繁盛し続けるでしょう。」と言う。
調査によれば、人々に出身国を離れさせるプッシュ要因は、地中海での人の密輸サービスの利用しやすさや救助活動などによるあらゆる影響を上回るほど強力。
「アフリカから来る人々の多くは、何か問題があるから国を離れたのです。何の理由もなく、いやがらせを受けたり、虐待されたりしに、言葉もわからない知らない国に危険な旅をするのではありません。」
IOMの統計によれば、2015年1月から5月までに、115,000人の移民が地中海を渡り、同時期に海で1,850人以上の移民の命が失われた。
「この報告が、現在地中海の両側で行われている政治的な議論に多少なりとも違う意味合いを与えて、しばしば歪められたイメージで語られる移民や移住に人間味を持たせることを望んでいます。」と、調査を委託したIOM中東北アフリカ地域事務所のパスクアーレ・ルポリ代表は語る。
http://www.iomjapan.org/publication/migration_mediterranean.cfm