エジプト新政権の準備は7月までに整うか、大統領選の日程発表

エジプトのアドリー・マンスール暫定大統領は3月12日、次期大統領選挙を7月17日までに実施することを発表した。大統領選挙は当初、2014年4月に実施される予定だったが、内政事情などによりその日程がずれこむ格好となった。

モルシ前大統領が2013年7月にエジプト軍のクーデターにより政権の座から追放されて以降、エジプトでは軍最高評議会(SCAF)が実質的に権力を掌握している。モルシ前大統領の支持母体である「ムスリム同胞団」支持者のデモ隊と暫定政権の治安部隊との抗争は今なお激化しており、これまでに1000人以上が死亡し、数千人が治安部隊によって取り締まりを受けている。

内政では今も波乱が続いており、2014年2月には、ハーゼム・ベブラウィー暫定首相(当時)が突如内閣総辞職を発表した。総辞職の理由については明らかにされなかったが、公的セクターでストライキが相次ぐなど経済政策の失策が背景にあると見られている。

内閣総辞職を受けて、マンスール大統領は暫定政権で住宅担当大臣だったイブラヒム・マフラブ氏を首相後任とした。マフラブ氏は首相就任の記者会見で、エジプト国内のテロリズムと戦い、安全保障を回復することを明言したが、現在もなお治安面での懸念は払拭されてはいない。また、防衛大臣にはエジプト陸軍司令官のアブデル・ファタハ・エル・シシ氏を留任させた。シシ氏は次期大統領候補と目されており、すでに軍最高評議会はシッシ氏の出馬を承認している。

エジプト世論調査センターによる3月初旬の調査では、有権者の約半数が次期大統領選挙で「シシ氏を支持する」と答えている。一方で、有権者の45%が「投票先を決めていない」と回答。さらに、革命の主体といわれてきた30歳以下の若年層が投票先の決定以前に選挙に参加しない可能性があることも同調査で判明した。

新政権への移行期にあたり、国内問題の解決と移行にあたってのプロセスの明示化が問われているエジプト。次期大統領選挙で具体的な変革があるのか大いに注目される。(河合正貴)