国際協力NGOのネットワーク組織「動く→動かす」は2月8日、「地球規模と国内の課題に向き合うNGO―ポスト2015に向けて―」と題する講演会をJICA横浜で開いた。「よこはま国際フォーラム2015」のイベントのひとつ。日本国内で活動するNPO法人の代表者2人が講演した。
国際社会は目下、2015年に達成期限を迎えるミレニアム開発目標(MDGs)の後継となる「ポスト2015年開発アジェンダ」の策定を進めているところだ。これに統合される「持続可能な開発目標(SDGs)」の中身について国連は先に、女性のエンパワーメントや持続可能なエネルギーへのアクセスなど17の目標を提案したばかり。
MDGsとSDGsの大きな違いについて、講演会のコーディネーターを務めた星野智子・環境パートナーシップ会議副代表理事は「MDGsの対象が(飢餓の撲滅や初等教育の完全普及など)主に途上国での取り組みだったのに対し、SDGsは先進国の課題も含む」と指摘する。たとえば少子高齢化や貧富の格差拡大、気候変動などは日本も直面している課題だ。このため国内で活動するNPO法人の力もSDGs達成には当然、不可欠となる。
最初に講演した、日本の生活困窮者を支援する認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長は「日本では生活困窮者の住まい状況が多様化した。ホームレスは減ったが、『見えない貧困層』が増えている。(世界で高齢化が加速する中) 世界で一番の超少子高齢化社会である日本が、国内の貧困を解決できれば、それは同時に、世界に通用するモデルにもなる」と話した。
その後に登壇したNPO法人「循環生活研究所」のたいら由以子理事長は、地域を巻き込んだ循環型まちづくりの事例を紹介した。同団体はこれまで福岡県で、たい肥作りを通して人材を育成したり、教育機関と連携したりすることで、資源を効率的に利用する取り組みを進めてきた。この活動は国内にとどまらず、いまやアジア各国に広がっているという。
最後に行われたパネルディスカッションでは、途上国で活動するNGOと国内の問題に取り組むNPOがどうやって連携し、どう相乗効果を上げられるかについて議論した。たいら理事長は「これまでの活動で蓄積した技術・ノウハウは途上国の課題解決でも役立つはず」と述べ、また大西理事長は「海外で活動する人からのアドバイスで国内の活動への示唆を得ている」と述べた。