73の国際協力NGOは4月14日、外務省が有識者懇談会を設置して3月から進める「政府開発援助(ODA)大綱」の見直しについて、同省への要望をまとめた共同声明を発表した。このなかで、日本の利益を第一にするのではなく、「途上国の開発と貧困・格差の解消のためのODAにすべき」と強く訴えた。声明の骨子は下のとおり。
1)ODA政策の積み重ねを継承すべき
ODAの政策はこれまで、途上国の開発と貧困・格差の解消に最大限の効果を挙げることに主眼が置かれてきた。とりわけ2000年以降は、国際的なプロセスの中で、援助国(ドナー)ではなく途上国自身がオーナーシップをとる形で、すべてのアクター(援助関係者)が協働し、開発効果を高めていこうという流れがある。ODA大綱の改定でも、こうした積み重ねを反映してほしい。
2)ドナーの利益は二の次
ODAの一義的な目的は、ODAの供与先である途上国の開発と貧困・格差の解消だ。ドナーの経済成長や民間セクターの便益は、途上国開発の結果として得られるもので、ODAの直接的な目的とすべきではない。この点を、ODA大綱の見直しで明確にしてほしい。
3)ODA4原則を維持すべき
現在のODA大綱の「ODA4原則」は、軍事用途や国際紛争の助長につながるODAの使用を避けるよう明記している。ODAは、軍事的利益や短期的な外交利益に従属するものであってはならない。今回の改定でも、ODA4原則を維持してほしい。
4)タスクフォースの設置を
ODA大綱を前回改定した際は「ODA総合戦略会議」の中にタスクフォースを設置した。これが重要な役割を果たした。今回も、骨子・案文の作成を、外務省と関係セクターの識者で構成する「タスクフォース」で進めてほしい。
5)市民の声を反映してほしい
ODA大綱改定の骨子・案文は段階ごとに公開し、関係セクターやNGOなど市民社会と意見交換すべき。また、そこで上がった意見が改定プロセスに反映されるよう配慮してほしい。
6)パブコメの採用状況を一覧に
ODA大綱の最終案に対する公聴会の開催とパブリックコメントを実施し、集まった意見、政府・外務省の回答、採用の可否について、外務省のホームページなどで一覧にしてほしい。(堤環作)